【感想・考察】動物物語 狼の王ロボ【シートン】

感想・考察 (3) 物語
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※ネタバレ注意!
この記事には作品のネタバレが多く含まれております。未読の方はご注意ください。

ナラ
ナラ

シートンの動物物語は動物を扱った有名なシリーズだよね

ロジィ
ロジィ

1900年頃にアメリカの学者であるシートンによって書かれたシリーズだね

ロジィ
ロジィ

狼の王ロボはその中でも、1898年に発表された「私の知る野生動物」に収録されている短編小説だ

ナラの感想

狼の狡猾さ

狼の王ロボは狼とヒトの知恵比べのお話。

両方ともとても賢いんだけど、人間が弄した罠に対する、ロボの回答は、まさにお見事の一言だ。

毒の入った餌肉の仕掛けを全部まとめて積み上げておく何て、実に皮肉が利いてる。

他にも、埋めた罠をこれ見よがしに全部掘り起こしておく何て、余程ロボは賢く鋭い嗅覚があったんだろうね。

当てが外れてしまい、帽子を地面に叩きつけて悔しがる人間の姿がまざまざと目に浮かぶようだよ。

人間の悪辣さ

ロボは人間の計略によって、その生涯で唯一とも言える敗北を喫してしまう。

敗北はロボの命を奪ってしまうものとなった。

その時人間が仕掛けた罠の恐ろしさと言ったらない。

なにせ、ロボのパートナーを使った罠なんだから!

人々はロボのことを悪魔だって言ってたけど、ロボのパートナーであるブランカの命を奪って、その身体を利用したトラップを思いつくなんて、いやいやどっちが悪魔だって感じ。

まさに、悪辣って感じだよね。

生きるということ

ボクたちも命を奪う。生きるためにね。

捕食したり、されたりするのは自然の営みの中で当たり前なことだし。

その中でヒトは最も捕食されることを嫌い、どこまでも安全を求めてきた生き物なんだと思う。

そのために、ヒトは進化の過程で経験から学び未来を予想する能力を身につけてきたんじゃないかな。

シートンはその好奇心から動物の習性を熟知していた。

その知識からロボとブランカの関係を見抜き、狼王を仕留めることができたのはヒトならではの能力のおかげだと思う。

知性の高さがヒトの武器なんだ。

その知性からヒトは様々なものを生み出してきた。でもそれは両刃で、時に同族同士でも傷つけあってしまうんだから面白い。

結局、ロボはヒトの悪辣ともいうべき罠にかかって負けてしまった。

羊飼いはロボの最期を王のようだと讃えたけど、ボクにはロボが単に生きることに絶望してしまったんだと思った。

ロジィの分析

物語は失敗から始まる

「へー!」と、私は全身の血をぬき取られたような気持ちになった。

アーネスト・トムソン・シートン/薄田斬雲訳『動物物語 狼の王ロボ』青空文庫 

失敗と試行錯誤が物語を盛り上げる重要な要素となる。

おおかみ狩りの経験者であり、動物に関して造詣ぞうけいが深いシートンであったとしても一度で仕留めることはできなかった。

失敗のシークエンスがあるからこそロボとシートンの対立は映えるのである。

シートンの個性

このカランポーの狼群ろうぐんの行動には、わたしにとけないことが一つあった。それは私のこれまでの経験によると、おおかみの群れというものは、一ぴきの指導おおかみにしたがうのがならわしであるのに、ここのはおりおりロボの大きい足跡あしあとの前にやや小さい足跡がついているのである。

アーネスト・トムソン・シートン/薄田斬雲訳『動物物語 狼の王ロボ』青空文庫 

劇作家アントン・チェーホフに由来する物語のテクニックの一つに、序盤になにげなく提示した小道具を物語の終盤に重要な意味をもたせるという技法がある。

なぜ、シートンはロボを仕留めることができたのか。

シートンの知識が活きたからである。

  • シートンはなぜロボを倒せたのか。
  • ロボを仕留めるのがシートンでなければならないのは、なぜか。
  • シートンならでは個性はなんなのか。

これらは物語を構成する上で、重要な問いである。

彼は動物に対して深い造詣を持っていた。

チェーホフの技法から考えると、彼はその深い知識や観察眼を使ってロボを追い詰めなければならない。

キャラクターの個性はそのまま物語の個性になる。

攻撃のシークエンス

わたしはこのカランポーのおおかみどもも同じ習慣をもっているとにらんだのである。ロボはまたも私の計略けいりゃくを見やぶるかもしれない。けれど、私の心の中にはべつな考えがあったのである。

アーネスト・トムソン・シートン/薄田斬雲訳『動物物語 狼の王ロボ』青空文庫 

ロボの弱点を見抜いたシートンは反撃を開始する。

試作から分析、そして反撃、解決へ。

この物語はおよそ四幕で構成されている。

そして、ロボへの攻撃のシークエンスではシートンだけでなくロボの感情もあらわになっており、物語のクライマックスシーンとなっている。

ナラとロジィの「狼の王ロボ」

ロジィ
ロジィ

シートン許すまじ

ナラ
ナラ

珍しく感情的だね

ロジィ
ロジィ

愛する者をあのようにされたら誰でも怒るだろう

ナラ
ナラ

まぁねぇ

ナラ
ナラ

実は「狼の王ロボ」は小さい頃に一度読んだんだけど

ロジィ
ロジィ

モモンガだった頃?

ナラ
ナラ

いや、モモンガとムササビは違うからね

ロジィ
ロジィ

なんだ、出世魚みたいなもんじゃないのか

ナラ
ナラ

ちがいますぅー

ロジィ
ロジィ

座布団は生まれた時から座布団か

ナラ
ナラ

ザブトン?よく分からないけど、キミ、今もの凄く失礼なこと言ってない?

ロジィ
ロジィ

まさか

ロジィ
ロジィ

それで、幼い頃の「狼の王ロボ」の印象はどうだった?

ナラ
ナラ

んー、小さかった時はブランカに起きたことはスッカリ忘れてて、その当時はロボ負けたー。くらいの感想しかなかったなぁ

ロジィ
ロジィ

今回は読んでみてどうだった?

ナラ
ナラ

ロボへの感情移入が強かったね。とくにブランカが罠にかかるシーン

ロジィ
ロジィ

なるほど、モモンガだった頃は行間にあるロボとブランカの愛情に気付かなかったわけだ

ナラ
ナラ

そうだねー、ブランカばかだなーとしか思ってなかったかも

ナラ
ナラ

って、だからモモンガじゃないってば!

ロジィ
ロジィ

冗談だよ。シートンはロボとの一件以降、狼を狩らなくなったらしいね

ナラ
ナラ

青く燃えた目になにかを感じ取ったのかもね

ロジィ
ロジィ

どこまでの生き物に感情を感じることができるのだろう

ナラ
ナラ

想像力次第じゃない?頑張れば植物にだって元気かどうかを感じることが出来るし

ロジィ
ロジィ

アニミズムってやつだな

ナラ
ナラ

あー、自然界のそれぞれのものに固有の霊が宿っているって考え方ね

ロジィ
ロジィ

まぁ、考えて見れば当然だな。万物は地球の副産物にすぎないわけだし、あらゆる物質には魂が「ある」もしくは「ない」と考えるのが自然だ

ナラ
ナラ

捻くれてるなぁ。そこは普通に「ある」でよくない?

ロジィ
ロジィ

しかし「ある」と考えた場合、例えば山から欠けた石は「山の魂」か「石の魂」か分からないじゃないか

ナラ
ナラ

そこはほら、グレートスピリットだよ

ロジィ
ロジィ

グレートスピリット?

ナラ
ナラ

アメリカ・インディアンの思想。大いなる神秘、宇宙の真理のことだね。あらゆるものは繋がっていて、平等だって考え方のことだよ

ナラ
ナラ

「二つ足も四つ足も、石も草も木も」すべてが平等だと考える彼らは、ヒト以外のものを呼ぶときも「熊のひとたち」「石のひとたち」「鳥のひとたち」って呼び方をしたんだってさ。全ては大いなる神秘のもとにある

ロジィ
ロジィ

ほう。面白いな

ナラ
ナラ

ロボやブランカも「狼のひとたち」ってことになるね

ロジィ
ロジィ

そう表現すると、「狼の王ロボ」も同族間の争い、山賊VS地元民みたいな構図になるのか

ナラ
ナラ

そうだね。でもそれは……

ロジィ
ロジィ

児童文学には向かない内容になるな

コメント

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